自動車保険の保険料、高いと感じていませんか?
無駄な補償は徹底的に省いてしまい、できるだけ毎月の負担を抑えたいものです。
特に、あまり聞かない名前の特約や、他の補償と似たような名前の特約、本当に必要なの?と思うような特約などは見直しの余地があります。
しかし、自動車保険の中には、あまり馴染みのない名前の特約でも、とても重要な役割を果たしているものもあるんです!
今回ご紹介する「無保険車傷害保険」もその1つです。
もくじ
無保険車傷害保険ってどういう保険?
「無保険車傷害保険」とは、”無保険車”との事故によって、保険加入している運転者やその家族が死亡・後遺障害を負った場合に、相手側から十分な補償を受けられない時に補償を受けられる保険です。
無保険車傷害保険が対象となるケース
対象となるのは、主に、以下の4つのケースです。
(1)相手自動車が、任意保険の対人賠償保険に加入していないケース
(2)相手自動車が、任意保険の対人賠償保険を加入していても運転者が運転者条件違反などで保険金支払いが対象とならないケース
(3)相手自動車が、任意保険の対人賠償保険に加入しているが、その補償額が自身の「無保険車傷害保険」よりも低いケース
(4)相手自動車が、当て逃げなどで不明なケース
任意保険に加入していない車のことを、一般的に”無保険車”と呼びます。
任意保険には、相手の物を壊してしまった時のための対物賠償保険と、相手を死傷させてしまった時の対人賠償保険などが主要の補償内容となります。
さらに、任意保険の大きな役割の1つでもある示談交渉サービスは、強制保険(=自動車損害賠償責任保険、自賠責)には付いていません。
つまり、無保険車とを事故をしてしまった時は、被害者として死傷してしまった場合でも、相手の保険会社と金銭的な交渉をすることはできません。
そもそも、交渉相手となる保険会社が存在していないのです。
無保険車なんてとんでもない!…とたいていの方は考えるでしょう。
しかし、損害保険料算出機構(自動車保険の概況/2017年3月末)のデータによると、任意保険に加入し、対人賠償保険を付けている車は約74%。なんと3割近くの自動車が無保険車ということになります(!)。
また、相手が任意保険に加入していた場合にも、対人賠償の保険が使えないケースがあります。それが、上記(2)のような運転者条件違反のケース。自動車保険には「年齢者条件」「家族限定」「配偶者限定」など、運転者を限定する特約を付けることで保険料を安くすることが可能性ですが、運転者として対象とならない人が事故を起こしてしまった場合は、その自動車保険は機能せず、無保険車と同様の扱いになってしまうのです。
他にも(3)のように、相手の自動車が、任意保険の対人賠償保険に加入していたとしても、補償が十分に受けられないケースがあります。たいていは、対人賠償保険は2億円を超えるような「無制限」で付けることが一般的ですが、人によっては保険料を抑えるために1億円を下回るような補償額に設定している方もいます。
そして(4)のケースように、当て逃げ被害に遭い、相手が分からない場合は、亡くなったり後遺障害を負ったとしても、当然ですが、相手側から賠償を受けられることはありません。このような場合、人身傷害保険にような死亡・後遺症を補償する保険に加入していれば良いですが、人身傷害保険の補償額が最低限の3,000万円程度しか付けていなかったり、そもそも人身傷害保険を付けていない…という契約内容の方もいます。
このように(1)~(4)のようなケースで必要となるのが、無保険車傷害保険なのです。
無保険車傷害保険の金額はいくら支払われる?
無保険車傷害保険から支払われる保険金額は、最高2億円までとなっています。
但し、支払い対象となるのは死亡や後遺障害を負った場合のみとなります。後遺障害が残ると認定されなければ、治療費や入院費、通院費などは一切補償対象とはなりません。
また、この無保険車傷害保険に加入していて、死亡や後遺障害を負ってしまった場合も、人身傷害保険に加入していれば、人身傷害保険が優先して適用されます。人身傷害保険の補償額でカバーできない場合に、人身傷害保険の補償額を差し引いて無保険車傷害保険が支払われる仕組みになっています。
無保険車傷害保険、等級への影響は?
無保険車傷害保険のみを使っても、等級や保険料への影響はありません。
いわゆるノーカウント事故ということになりますが、これは人身傷害保険や搭乗者傷害保険なども同様です。
無保険車傷害保険と人身傷害保険はどう違うの?
無保険車傷害保険が、人身傷害保険と大きく異なるのは、無保険車傷害保険は死亡・後遺症のみが補償されるという点です。
人身傷害保険は、死亡・後遺症もカバーしますが、そこまで大変な状況に陥らないようなケガでも補償されます。
また、人身傷害保険は、ケガの通院・入院の治療費だけでなく、通院のための交通費や休業損害、慰謝料なども補償されます。
さらに、無保険車傷害保険は、相手が無保険の場合など適用となる条件も限られるので、人身傷害保険に比べれば請求する機会はほぼないと言ってもよいかもしれません。
つまり、無保険車傷害保険も人身傷害保険も、死亡・後遺症を補償するという点では同じですが、人身傷害保険の方が補償範囲が広く、圧倒的に実用的な保険として必要な補償と言えます。
では、無保険車傷害保険は必要ないのでしょうか?
無保険車傷害保険は必要なの?
結論から言うと、「無保険車傷害保険」は必要です。
なぜならこの保険は、保険加入者にとって”本当に最悪な事態”を防ぐために用意している補償だからです。
そもそもこの保険が適用になるような状況の当事者となってしまうケースというのは、誰もが想像したくないような非常事態です。
相手側に全ての責任のある事故、もしくは相手側の方が大きな責任のある事故によって、自分自身や家族や同乗者が亡くなったり後遺障害を負ってしまうだけでもとんでもない事態ですが、さらにそんな事故を起こした相手側が無保険車だった時には、事実上、相手側には何も賠償してもらえないということも想定されます。
相手は”無保険車”というくらいですから、保険料すら払うことができないほどお金のない人という可能性もあります。
当然、高額な賠償に対してすぐに応じてもらえることは期待できません。
保険加入者がこのようなケースに巻き込まれても泣き寝入りしなくて済むように、たいていの保険会社ではこの「無保険車傷害保険」を自動的に付帯される補償内容としています。
しかし、現実には、そんな無保険車が全体の3割近くもいるのですから本当に恐ろしい話です。
つまり、無保険車傷害保険は”本当に最悪な事態”を防ぐために必要な保険なのです。
さいごに
今回は無保険傷害保険について解説しました。
少しでも保険料を安くしたいというのは分かりますが、無保険傷害保険はとても重要な保険になります。
最悪な事態を防ぐ意味でもつけておいた方がいい保険でしょう。
是非参考に保険を見直してください。