車に乗り続けている場合、自動車保険は空白期間が発生しないよう継続するのが一般的です。
しかし、何らかの事情で自動車保険の契約を中断する場合があります。
自動車保険を中断・再契約する際に気をつけたいのが、「等級」の扱いです。
等級は運転者の安全運転度を示す指標であり、等級が高ければ保険料が割引され、等級が低ければ保険料が高くなります。
自動車保険を中断して再契約すると、基本的に等級はリセットされてしまいます。
ただし、「中断証明書」の発行を受けている場合や、前契約の中断日から日数が経過していない場合は、等級を引き継ぐこともできます。
等級が高い人は、自動車保険を中断・再契約する際に、なるべく以前の等級を引き継げるようにしたいものです。
今回は、自動車保険に以前加入していた人が、保険に再加入する際の手続方法や注意点について解説します。
「中断証明書」がある場合とない場合など、状況ごとに解説しますので、是非参考にしてみてください。
もくじ
自動車保険に再加入する場合は等級に注意
自動車保険に再加入する際には、等級の扱いに注意する必要があります。
等級は安全運転の度合いを示す指標で、等級が高ければ事故のリスクが低いため保険料が割引され、等級が低ければ保険料が割高になります。
等級は無事故でも1年間で1ランクしか上昇しないため、高い等級は長い年数をかけて築いた財産ともいえます。
自動車保険を中断・再加入する場合は、高い等級をなるべく引き継げるよう手続きに注意する必要があります。
中断証明書がある場合の再加入手続き
自動車保険の再加入手続きや等級の扱いは、「中断証明書」がある場合とない場合とで異なります。
まずは、中断証明書がある場合について解説します。
中断証明書があれば以前の等級を引き継げる
自動車保険への加入を中断すると、それまで積み上げてきた等級は基本的にリセットされます。
等級がリセットされると、再加入する自動車保険は6等級からのスタートになり、保険料が以前よりも割高になります。
しかし、旧契約の保険会社に中断証明書を発行してもらっていれば、一定期間自動車保険に加入していなくても、再契約する新しい保険に以前の等級を引き継ぐことができます。
中断証明書を使用して以前の高い等級を新契約に適用すれば、保険料を安く抑えることができます。
初期の等級よりも高い7等級以上の保険を中断する際には、中断証明書を発行しておくことをおすすめします。
中断証明書の発行条件
中断証明書は、契約していた保険会社に発行を依頼します。
中断証明書の発行を受けるためには、いくつかの条件があります。
中断証明書の一般的な発行条件は、以下の通りです。
・中断証明書の発行条件
発行条件 | |
等級 | 中断した保険を再開する際の等級が7等級以上であること |
申込期限 | 保険契約の中断日(満期日または解約日)から13ヶ月以内の発行依頼であること |
中断事由 | 保険期間中に以下のいずれかの事由が発生すること (海外渡航の場合を除く) ・車を廃車または他者に譲渡する ・車が車検切れになる ・契約車両が車両入替手続きによって他の保険契約の対象になる ・車が盗難される ・災害によって車が滅失する |
海外渡航の場合 | 契約の中断日から6ヶ月以内に記名被保険者(主な車の運転者)が出国予定であること |
以上の条件に該当する場合、中断証明書の発行を受けることができます。
中断証明書の発行に必要な書類
中断証明書の発行に必要な書類は、以下の通りです。
・中断証明書の発行依頼書(保険会社から送付される)
・中断前の自動車保険証券の写し
・中断事由が証明できる書類
中断事由に関する書類は、廃車・譲渡・盗難・滅失などの事実が証明できる書類です。
登録事項等証明書・リース契約書・盗難届出証明・車検証などが該当します。
自動車保険の契約を中断する場合は、以上の書類を整えて保険会社に中断証明書を忘れずに発行してもらいましょう。
なお、中断証明書の発行には費用はかかりません。
中断証明書を使って等級を引き継ぐ条件
中断証明書を取得している場合でも、再契約時に等級を引き継ぐためにはいくつかの条件があります。
・中断証明書を使って等級を引き継ぐ条件
中断証明書の提出 | 旧契約の中断証明書の「原本」を提出すること (中断証明書の複数回の使用を避けるため) |
中断証明書の有効期限 | 再契約日が中断証明書の有効期限内であること (中断証明書の有効期限は保険会社によって異なるが、保険の中断日から10年間の保険会社が多い) |
契約車両の条件 | 新契約の契約車両が、新契約の保険始期日の過去1年以内に取得・借入したものであること(海外渡航の場合を除く) |
契約車両の車種 | 旧契約の車と新契約の車が同一の用途であること (家庭用の車両など) |
契約者の名義 | 新契約の記名被保険者(主な運転者)および車両所有者が、原則として旧契約とそれぞれ同一であること (ただし、同居の親族や配偶者は同一とみなされる) |
海外渡航の場合 | 帰国日の翌日から1年以内に新しい自動車保険の契約を締結すること(保険会社によって異なる) |
以上の条件を満たせば、中断証明書を使って旧契約の等級を新契約に引き継ぐことができます。
なお、海外渡航による中断の場合は、車の廃車や譲渡が理由の場合と使用条件が異なります。
海外渡航による中断証明書については保険会社によって扱いが異なるため、保険会社に利用条件を確認するようにしてください。
中断証明書を使った手続き方法
中断証明書を使った再加入手続きに必要な書類は、以下の通りです。
・中断証明書の原本
・車検証のコピー
・免許証のコピー
・パスポートのコピーなど(海外渡航が理由で保険を中断した場合)
以上の書類を揃えて、新しい契約を結びたい保険会社に連絡しましょう。
中断証明書は、旧契約の保険会社以外との契約にも使用可能です。
保険会社にもよりますが、車の廃車・譲渡・車検切れなどが理由の中断の場合は、インターネットでの再契約手続きが可能な保険会社もあります。
海外渡航による中断の場合は、ネットでの手続きができないケースが多いです。
手続方法に関しては保険会社によって異なるため、申し込みの前に手続方法を確認しておきましょう。
中断証明書を使う場合は余裕のあるスケジュールで申し込みを
中断証明書を使った契約の場合、中断証明書の原本を保険会社に提出する必要があります。
そのため、郵送で手続きを行うダイレクト型保険を利用する場合は、書類のやり取りに時間がかかって保険の開始が遅れる場合があります。
中断証明書を使って自動車保険に再加入する場合は、書類のやり取りの時間を見越した余裕のあるスケジュールで手続きを行うようにしましょう。
中断証明書がない場合の再加入手続き
続いて、中断証明書がない場合について解説します。
中断証明書がない場合は、保険を中断すると原則として等級がリセットされてしまいます。
ただし、旧契約が切れた直後であれば、新契約に等級を引き継ぐことも可能です。
中断日から7日以内であれば等級の引継ぎが可能
中断証明書がない場合でも、旧契約の中断日(満期日もしくは解約日)から7日以内に新しい保険の始期日を設定すれば、旧契約の等級を引き継ぐことができます。
うっかり自動車保険の更新を忘れて保険の満期日が過ぎてしまった場合は、等級を引き継ぐために、できるだけ早く新しい保険契約を結ぶようにしましょう。
契約手続きについては、旧契約の満期日から7日以内の契約の場合、満期日に保険を乗り換える際の手続方法と変わりません。
必要書類は以下の通りです。
・旧保険の保険証券
・免許証のコピー
・車検証のコピー
以上の書類を揃えて、等級がリセットされないよう早めに手続きを行いましょう。
8日以上経過すると高い等級がリセットされる
旧契約の中断日から8日以上が経過してしまうと、等級はリセットされてしまいます。
等級がリセットされると、新契約は新規加入扱いになり、初期値の6等級から再スタートになってしまいます。
そうした事態を避けるためにも、自動車保険の更新を忘れないようにすることが重要です。
中断証明書は保険の中断日から13ヶ月以内であれば依頼できますが、中断証明書が発行されるのは廃車・譲渡・車検切れなどが保険期間中に発生したケースであり、更新を忘れた場合には適用されません。
保険の満期については事前に保険会社から連絡があるため、更新手続きを忘れないようにしましょう。
等級が6等級よりも低い場合の再加入手続きは?
事故などで自動車保険を使って等級が6等級未満になってしまった場合、等級を引き継がずにリセットしたいと考える人もいるでしょう。
しかし、6等級未満の低い等級の場合は、短期間でリセットすることはできません。
低い等級は短期間ではリセットされない
高い等級の場合は、新旧の保険契約の間があいてしまうと等級がリセットされます。
しかし、6等級未満の低い等級は短期間ではリセットされず、強制的に等級が引き継がれます。
低い等級をリセットできてしまえば、等級制度の意味がなくなってしまいます。
低い等級は再加入の際に正直に申告
自動車保険を新規契約する際には、前に契約していた保険について必ず確認されます。
6等級未満の低い等級のデータは各自動車保険会社で共有されているため、「前に契約していた保険はない」とウソをついて契約しても、虚偽の申告であることが保険会社にはすぐに分かります。
ウソをついて契約しても、後から正しい保険料との差額を請求されます。
また、場合によっては保険契約を解除される場合もあります。
再加入する際には、以前の等級について正直に申告するようにしましょう。
低い等級データはどれくらいでリセットされる?
各自動車保険会社で共有されている等級データは、満期を迎えてから13ヶ月でリセットされます。
等級がリセットされれば、標準の6等級で再契約できます。
等級は1年間で1つしか上がらないため、極端に低い等級になってしまった場合は、13ヶ月間保険契約をせずに等級をリセットするのもひとつの手です。
ただし、その間は無保険の状態になるため、車の運転を避ける必要があります。
自動車保険が失効した場合の等級の扱いは?
月払いの保険料を滞納した場合や、保険契約時の申告内容が事実と異なっていた場合、自動車保険の契約を保険会社から解除されるケースがあります。
そうした自動車保険が失効したケースでは、高い等級は残念ながらリセットされてしまいます。
自動車保険が失効した後に再加入する場合は、新規契約と同じ6等級からのスタートです。
そうしたケースを避けるためにも、保険料の支払いを延滞しないよう注意しましょう。
また、契約時には事実と異なる申告をしないようしっかりと確認したうえで申し込むことが大切です。
保険料の未払いは、3ヶ月程度続くと保険が失効になるケースが多いです。
滞納していた保険料をまとめて支払えば契約の復活が可能な場合もあるため、保険料の滞納に関する通知が保険会社から来た場合は、速やかに保険会社に連絡して滞納分の保険料を支払うようにしましょう。
なお、等級が6等級未満の場合は、失効であっても13ヶ月間は等級がリセットされません。
保険の失効にメリットは一切ないため、保険契約を解除されないよう注意しましょう。
再加入する自動車保険を安く抑えるためには?
保険に再加入する際には、契約する保険会社をよく吟味することが大切です。
自動車保険は保険会社によって保険料が大きく異なり、提供されるサービスにも差があります。
自動車保険料をなるべく安く抑えるためには、できるだけ多くの保険会社の見積もりを比較することが大切です。
比較する保険会社の数が少なければ、より安価でサービスの良い保険会社を見逃す確率が高まります。
保険会社を比較する際には「自動車保険の一括見積もりサービス(無料)」を利用するのが便利です。
一括見積もりサービスはその名の通り、多くの保険会社の見積もりを一括で確認できるサービスです。
自動車保険料は、車種・年齢・免許証の色・各種特約の有無・走行距離などの多くの要因によって変化します。
そのため、見積もりをとる際には数多くの情報を入力する必要があります。
各保険会社のホームページからも見積もりを確認できますが、1社ごとに情報入力するのはとても大変です。
一括見積もりサービスを利用すれば、1回の情報入力で多数の見積もりを確認でき、見積もりをとる手間と時間を大幅に省くことができます。
一括見積もりサービスは無料で利用でき、利用者にデメリットのないサービスです。
自動車保険に再加入する際には、一括見積もりサービスを積極的に利用することをおすすめします。
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まとめ
自動車保険に再加入する際の手続きは、「中断証明書」の有無によって異なります。
中断証明書があれば、それを使って新しい保険に等級を引き継ぐことができます。
中断証明書の有効期限は、旧保険の中断日から最長10年間です。
中断証明書を使って再加入する場合は、中断証明書の原本を保険会社に提出する必要があります。
手続きに時間がかかるケースもあるため、余裕をもったスケジュールで申し込みましょう。
中断証明書がない場合は、旧保険の中断日から8日以上経過すると等級がリセットされてしまいます。
等級がリセットされた場合の再加入手続きは、保険の新規契約と同じ扱いになります。
等級のリセットを防ぐためにも、保険の継続手続きを忘れないよう注意しましょう。
なお、等級が6等級未満の場合は、等級のリセットに13ヶ月かかります。
自動車保険に再加入する際には、保険料を安く抑えるために、なるべく多くの保険会社を比較することが大切です。
その際には、「自動車保険の一括見積もりサービス」を利用すると、見積もりをとる手間を大きく省くことができます。
自動車保険の再加入を予定している人は、一括見積もりサービスを利用して、各社の保険料を確認してみることをおすすめします。