自動車保険料を決めるときには、車両料率クラスという要素が使われており、車両料率クラスが低いほど自動車保険料が安くなる仕組みとなっています。
車両料率クラスが低いということは、事故率が低いということを表していますので、今後車を買い替える人は、この車両料率クラスが低い車を検討すると、乗り換え後の自動車保険が安くなる可能性があります。
ここでは、自動車保険の車両料率クラスについて詳しく解説していきます。
もくじ
自動車保険の車両料率クラスとは?
自動車保険の車両料率クラスとは、任意保険の保険料を決めるために利用されている指標です。保険契約者が乗っている車の型式によってリスク度合いを決定し、その合計によって保険料を計算するという仕組みとなっています。
自動車保険の車両料率クラスが高い場合は「事故のリスクが高く、保険料が高い」ことを表し、逆に車両料率クラスが低い場合には「事故のリスクが低く、保険料も低い」ということになります。
この型式によって定められるリスクは4種類あり
・対人賠償保険
・対物賠償保険
・障害保険(搭乗者傷害保険と人身傷害保険)
・車両保険
という4つの項目において、それぞれのリスクが設定され、それを元に保険料が決められる仕組みとなっています。車両料率クラスは公の機関が定めている数値ですので、保険会社ごとに違うということはありません。その車に対する車両料率クラスは、どの自動車保険会社でも同じということになります。
自動車保険の車両料率クラスは何段階?
自動車保険における車両料率クラスは、「対人」「対物」「障害」「車両」の4項目それぞれを1~9までの9.段階で評価する仕組みとなっています。1はリスクが最も少なく、9が最もリスクが高いということを意味しており、この車両料率クラスが低いほど事故のリスクが低いので保険料が安く、逆に車両料率クラスが高いほど事故のリスクが高く、保険料も高いという仕組みになっています。
コンパクトカーの車両料率の例
例えば、損保ジャパンの平成22年2月に初年度登録されたストリームの車両料率はこのように記載されています。
ストリーム |
|||
車両4 | 対人4 | 対物4 | 障害4 |
このように、すべての項目で4となっており、車両料率クラスは全体的にリスクが低いと判断されていると言えるでしょう。
コンパクトカーはスピードもそれほど出ないこと、そもそもコンパクトカーに乗る層が安全運転志向の人が多いので、無理な運転をせず事故も起こりにくいということまで想定されています。これが、コンパクトカーの車両料率が低い要因となっています。
スポーツカーの車両料率の例
スポーツカーの場合はコンパクトカーよりも車両料率が大きくなり、事故のリスクが大きいと判断されるため保険料も高くなる傾向にあります。
スポーツカーの車両料率クラスの例は、
スポーツカー(目安) |
|||
車両9 | 対人6 | 対物4 | 障害5 |
となっており、スピードが出る車種であること、運転する人も若い人が多く無理な運転をしがちで事故率が高いこと、スポーツカーは盗難に合いやすいことを考慮して「車両9」に設定されています。
しかし、スポーツカーは頑丈に作られており、事故の場合に搭乗者が大きなケガをすることは少ないため、対人はストリームとほとんど変わらない「5」という判断になっています。
高級車の車両料率の例
高級車の場合は、修理時の部品代などの費用が多くかかること、盗難の危険性が高いことなどから、車両保険のリスクが高く設定されています。また、高級車の車体はしっかりとしたつくりのものが多く、事故を起こした場合は相手にダメージを与えやすい傾向があることから、対人も6となっています。
スポーツカー(目安) |
|||
車両9 | 対人6 | 対物4 | 障害5 |
このように、車両料率は4つの側面から独立してリスクを設定していることが特徴です。これらの4つのカテゴリーで、一つは車両料率が高くとも、他のものが低い場合は保険料が安く済む場合もあり、あくまでも、これらの4つの要素を合わせて判断される仕組みとなっています。
車両料率クラスは保険会社によって違う?
車両料率クラスは保険料に大きな影響があることがわかりましたが、これは自動車保険会社によって決められている数字ではなく、損害保険料率算出機構が毎年設定されている数字となります。よって、自動車保険会社によって車両料率クラスが違うということはなく、どの保険会社でも同じということになります。
車両料率クラスは、損害保険料率算出機構が毎年「対人」「対物」「傷害」「車両」の4点について、車の型式別に自己実績を算出し、その結果車両料率が決定されます。この数字は毎年見直しされますので、前年度事故率が上がった車種については、同じ車であっても車両料率が上がる場合がりますので注意が必要です。
また、この車両料率は車種ごとではなく、車の型式ごとに細かく設定されています。
例えばトヨタの人気の車種のアルファ―ドですが実は多くの型式があり、以下の表のように一つ一つに対して車両料率が定められています。車の買い替えの時には、これらの車両料率をあらかじめ調べてリスクが低い車に乗ると、保険料を節約できるということになりますね。
車種 | 型式 | 対人 | 対物 | 傷害 | 車両 |
アルファ―ド | AGH30W | 3 | 4 | 4 | 6 |
AGH35W | 4 | 4 | 4 | 5 | |
GGH30W | 6 | 4 | 4 | 5 | |
GGH35W | 5 | 3 | 4 | 5 | |
ANH20W | 4 | 5 | 5 | 6 | |
ANH25W | 2 | 4 | 4 | 5 | |
GGH20W | 4 | 4 | 5 | 5 | |
GGH25W | 4 | 3 | 5 | 4 |
また、車の買い替え時には安全を最優先したい、という人は、この車両料率を調べて「事故率が少ない車」をピックアップすることができます。
車両料率を調べるということは、自動車保険料を安くしたいという人だけではなく、できるだけ事故を起こさず、安全に車に乗りたいという人にも役に立つ指標となっています。
詳しくはこちらの記事でも解説しています。
車両料率クラスを調べる方法
車両料率クラスを調べるには損害保険料率算出機構のホームページに「型式別料率クラス検索」ができるところがありますので、そこで車のメーカーや車種、型式を有力するとその車の車両料率が一目でわかるようになっています。
自分が今乗っている車がどれくらいの車両料率か知りたい人は、このページを活用すると良いでしょう。
車両料率クラスは、過去3年分の保険料の支払い実績をもとに算出され、毎年1月1日付けで新しいものに変更されますので、できるだけ新しい数字をチェックするようにしたいですね。
車両料率クラスを参考に乗り換える車を検討しよう
今から車の乗り換えを検討している人は、あらかじめ車両料率を調べて、保険料が安くなる車種や型式を把握してから車選びをしても良いでしょう。自動車保険料は、車を乗り続ける限り支払わなければならない「固定費」ですので、少しでも保険料を安く抑えることで、毎月のお金のやりくりがだいぶ楽になります。
一般的にはコンパクトカーの車両料率は低く、高級車やスポーツカーになると上がる傾向にあります。しかし、同じ車種であっても排気量や前輪駆動か後輪駆動か、4WDかなどによっても車両料率クラスは変わってきます。車両料率を調べるときは、車種だけではなく「型式」までをしっかりと調べるようにしましょう。
このように、自動車保険における車両料率は、保険料を決めるために重要な役割を果たしています。買い替えを検討している車が複数あるときは、車両料率をあらかじめ調べて検討するのもひとつの方法です。
しかし、その車両料率がどれくらい保険料に影響を及ぼすのか、どれくらい安くなるのかということは、実際に見積もりをとってみないとわからない部分もありますので、買い替えの前にあらかじめ「自動車保険の一括見積もりサービス(無料)」を使って見積もりをとってみることをおすすめします。
いくつかの車で迷っているのであれば、自動車保険が安い車を選ぶというのも良いやり方です。見積もりサービスを使って正確な自動車保険料を把握し、少しでも節約できるようにしたいですね。