自動車保険の保険料は、運転者の年齢条件によって大きく変わります。
年齢条件の基準は保険会社によって異なりますが、「26歳以上」を基準のひとつとしている保険会社が多くあります。
自動車保険に加入していて26歳の誕生日を迎えた場合は、保険の年齢条件を変更することで保険料を大幅に節約できる可能性があります。
その際は、こちらから保険会社に年齢条件の変更を申し出る必要があります。
保険会社が自動的に手続きをしてくれたり、連絡をくれたりはしません。
ただし、自分以外の家族が運転者の範囲になっている契約の場合は、家族の年齢にも注意する必要があります。
また、誕生日以外にも、家族の独立や同居などで年齢条件を見直すべきケースがあります。
今回は、「26歳以上」に条件変更することで保険料がどれだけ安くなるかについてや、保険契約の条件変更の方法、自動車保険の年齢条件を見直すべきケースなどについて、詳しく解説します。
もくじ
保険料は年齢条件によって大きく変わる

まずは、自動車保険の年齢条件の基本的な仕組みを確認しておきましょう。
自動車保険の保険料は、年齢条件を設定して運転者の年齢を制限することで、大きな割引を受けることができます。
これは、若い人のほうが事故を起こす確率が高く、そのリスクに見合った保険料を支払う必要があるためです。
年齢条件の基準となる年齢は保険会社によって異なりますが、「全年齢対象」「21歳以上」「26歳以上」「35歳以上」といった年齢条件がよくみられます。
この中では「全年齢対象」の保険料が突出して高く、年齢条件が厳しくなるにつれて保険料が安くなります。
年齢条件ごとの割引率は、保険会社によって差があります。
保険会社各社の年齢条件による割引率は、以下の通りです。
年齢条件 | ソニー損保 | あいおいニッセイ同和 | 東京海上日動 | 損保ジャパン日本興亜 | 三井住友海上 |
30/35歳以上 | -0.75 | -0.73 | -0.73 | -0.69 | -0.62 |
26歳以上 | -0.73 | -0.69 | -0.71 | -0.67 | -0.61 |
21歳以上 | -0.54 | -0.45 | -0.47 | -0.55 | -0.4 |
全年齢対象 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
表の数字をみると、年齢条件の設定によって保険料が大幅に節約できることが分かります。
「全年齢対象」から「21歳以上」に変更した場合の差が最も大きいですが、「21歳以上」から「26歳以上」への変更でも保険料を大幅に減らすことができます。
26歳の誕生日を迎えた際など、年齢条件を高く設定できる場合は、忘れずに保険の条件変更を行いましょう。
「26歳以上」に設定すると保険料はどれくらい下がる?

「21歳以上」から「26歳以上」に変更した場合の保険料の変化をより詳しくみていきましょう。
例えばソニー損保の場合、「21歳以上」では標準金額から54%の割引が受けられますが、「26歳以上」に変更するとさらに大きい73%の割引が受けられます。
「21歳以上」の条件で払っていた保険料を基準にすると、「26歳以上」の条件に変更した場合の保険料は「41%」安くなります。
具体的には、「車種:トヨタアクア・走行距離:11,000km以下・21歳以上・6等級・車両保険あり」などの条件で見積もりを行うと、ソニー損保の場合「230,000円」程度の見積もり金額が提示されます。
これをほかの条件を変えずに年齢条件だけ「26歳以上」にすると、「135,000円」程度まで保険料が下がります。
この場合、年齢条件を設定するだけで10万円近く保険料が安くなります。
仮に契約期間が半年残っていたとすると、年齢条件の変更を行えば、満期まで条件変更を行わなかった場合と比べて5万円近い保険料を節約することができます。
「21歳以上」の保険料を基準とした「26歳以上」の条件設定時の割引率は、以下の通りです。
保険会社 | ソニー損保 | あいおいニッセイ同和 | 東京海上日動 | 損保ジャパン日本興亜 | 三井住友海上 |
26歳以上設定時の割引率 | -0.41 | -0.43 | -0.55 | -0.27 | -0.35 |
以上のように、保険会社によって割引率に差はありますが、「21歳以上」から「26歳以上」に条件変更すると保険料を大幅に削減できます。
26歳の誕生日を迎えたら、すぐに保険会社に連絡して「26歳以上」の年齢条件に変更してもらいましょう。
詳しくはこちらで解説しています。
自分以外にも運転者がいる場合は?

年齢条件を設定すれば保険料を大幅に安くできますが、自分以外にも運転者がいる場合はその人の年齢も考慮する必要があります。
「26歳以上」に条件変更することで自分以外の人が補償から外れてしまう場合は、条件変更してはいけません。
自分以外の運転者の年齢に注意
例えば、25歳の配偶者を運転者の範囲に含めていた場合、「26歳以上」の年齢条件を設定してしまうと、配偶者が事故を起こした場合に補償が受けられなくなってしまいます。
その場合は、自分が26歳の誕生日を迎えたとしても、年齢条件は「21歳以上」に設定しておかなければなりません。
年齢条件を「26歳以上」にするのは、翌年に配偶者が誕生日を迎えて運転者全員が26歳以上になるのを待つ必要があります。
別居の子供や友人・知人は年齢条件に関係ない
ただし、運転者の年齢条件の適用範囲は「配偶者もしくは同居家族」に限られ、別居の子供や友人・知人には適用されません。
例えば、親が契約者で、26歳の同居の子供と23歳の別居の未婚の子供がいた場合を考えてみましょう。
運転者の範囲を「家族限定」にしていると、同居家族だけでなく「別居の未婚の子供」も補償の対象になります。
そのため、23歳の別居の子供も自動車保険の対象になり、帰省時などに契約車を運転して事故を起こした場合には保険金が支払われます。
この場合、別居の子供は23歳のため、「21歳以上」に年齢条件を設定する必要があると誤解しがちです。
しかし、別居の子供は年齢条件の対象外のため、この場合は「26歳以上」に年齢条件を設定できます。
「26歳以上」に条件変更した後、23歳の別居の子供が契約車を運転して事故を起こしても、問題なく保険料が支払われます。
同様に、「友人・知人」に関しても、多くの場合年齢条件は適用されません。
例えば、「運転者限定なし・26歳以上限定」の契約条件の場合、26歳未満の友人に車を運転してもらった際に事故が起きても補償が受けられるのが通常です。
ただし、家族以外の年齢条件に関しては保険会社によって適用範囲が異なる場合があるため、契約条件をよく確認することが大切です。
少しややこしいですが、「年齢条件は配偶者もしくは同居家族に適用される」と覚えておきましょう。
なお、配偶者については別居でも年齢条件の対象です。
年齢条件の設定で迷った場合は、保険会社に問い合わせてみましょう。
具体的な家族構成や車の利用状況を伝えれば、適切な年齢条件の範囲を教えてくれます。
年齢条件を変更したい場合は手続きが必要?

年齢条件を変更したい場合は、こちらから保険会社に連絡する必要があります。
契約途中で26歳を迎えても、保険会社から特に連絡などはありません。
年齢条件が設定できる状態で放置しておくと、余計な保険料を払い続けることになります。
26歳の誕生日を迎えたら、忘れずに保険会社に連絡しましょう。
条件変更手続きは保険会社によって異なる
代理店型の場合は契約時の担当者に連絡するか、加入している保険会社のコールセンターに連絡します。
また、会員専用サイトにログインしてネット上で手続きが行える保険会社もあります。
ただし、ネットで条件変更の申し込みを行えても、ネットだけでは手続きが完了しない保険会社もあります。
条件変更の手続きに関しては保険会社によって対応が異なるため、具体的な方法については加入している保険会社に確認しましょう。
銀行口座情報を用意しておく
「21歳以上」から「26歳以上」に年齢条件を変更すると、保険料が大幅に安くなります。
保険料を月割りで支払っている場合は翌月からの保険料が安くなるだけですが、保険料を一括払いしていた場合は安くなった保険料との差額が返金されます。
返金される保険料は銀行口座に振り込まれるため、手続きの際にはスムーズに伝えられるよう受取用銀行口座の情報を用意しておきましょう。
なお、運転者を追加する場合など、条件変更によって保険料が以前よりも高くなるケースがあります。
その際には追加の保険料が発生するため、差額を保険会社に支払う必要があります。
追加保険料はクレジットカードで支払うのが一般的であり、スムーズに手続きが行えるよう手元にクレジットカードを用意しておきましょう。
クレジットカードがない場合は、支払方法について保険会社に確認してみてください。
年齢条件を見直すべきケース

自動車保険の保険料は年齢条件によって大きく変わります。
保険料の払い過ぎを防ぐために、現在よりも高い年齢条件の設定が可能な場合は、忘れずに条件変更することが大切です。
年齢条件の見直しが必要になりやすいタイミングには、以下の3つがあります。
子供が別居する場合
年齢条件が適用されるのは「配偶者もしくは同居家族」であり、別居の子供には適用されません。
車を運転していた子供が別居することになった場合は、その子供を除いたほかの運転者の年齢まで年齢条件を引き上げましょう。
例えば、26歳の子供と20歳の子供がいて、20歳の子供が別居することになった場合は、「26歳以上」に年齢条件を設定しましょう。
この場合、「全年齢対象」からの変更になるため、保険料の割引額がとても大きくなります。
別居の未婚の子供は「家族限定」の契約条件であれば補償されるため、仮に20歳の子供が帰省した際に車を運転して事故を起こしても、補償は問題なく受けられます。
ただし、別居している証拠を保険会社に提示する必要があるため、証拠となる書類を出せるよう準備しておきましょう。
別居していた子供が同居する場合
逆に別居していた子供が再び同居することになった場合にも、年齢条件の変更が必要です。
同居家族は年齢条件の対象になるため、別居の20歳の子供が同居して車を運転する場合は、条件を「全年齢対象」に変更する必要があります。
変更を怠ると、20歳の子供が事故を起こした際に補償を受けることができません。
その場合は保険会社に連絡して条件変更を行い、追加の保険料を支払う必要があります。
運転者が誕生日を迎えた場合
自分や配偶者、同居家族が誕生日を迎えた際には、年齢条件が変更できないか確認しましょう。
その際には、「自分・配偶者・同居家族」の中で一番年齢の低い人が年齢条件の基準になります。
年齢を重ねると、自分と家族の年齢や誕生日への関心が薄くなりがちですが、保険料を安くするために忘れずにチェックするようにしましょう。
前述の通り、特に「26歳以上」や「21歳以上」の条件設定を行うと、保険料を大幅に削減できます。
それらの条件を忘れずに適用するために、自分や家族の年齢が21歳・26歳に近い場合は、特に注意することが大切です。
運転の頻度によっては1日保険を検討

現在、複数の保険会社が1日単位で加入できる保険を販売しています。
1日保険を利用すれば、通常の自動車保険の補償範囲外の人も安心して運転することができます。
そのため、同居している家族であっても、車をほとんど運転しないのであれば、自動車保険の運転者の範囲や年齢条件から外すのも選択肢のひとつです。
例えば、同居している20歳の子供がごく稀に車を運転するだけの場合に、子供に合わせて「全年齢対象」の条件にしていると、保険料が大幅に高くなります。
その場合は、年齢条件を「35歳以上」などに変更して、子供が運転する際には1日保険を利用すると、保険料を節約することができます。
まとめ
自動車保険の保険料は年齢条件によって大きく変わり、「26歳以上」の条件に設定できれば保険料を大幅に下げることができます。
26歳の誕生日を迎えたら、忘れずに年齢条件の変更を行いましょう。
「26歳以上」などの条件設定ができるようになっても保険会社から特に連絡はないため、手続きを行いたい場合は自分から連絡する必要があります。
条件変更の手続方法は保険会社によって異なります。
保険料を一括払いしてある場合は保険料の返金が発生するため、受取用の銀行口座を用意しておきましょう。
なお、年齢条件は、配偶者もしくは同居している家族が対象です。
年齢条件を設定する場合は、補償の対象外になってしまう人が出ないよう注意しましょう。
また、別居の子供は年齢条件の対象外のため、車を運転していた子供が別居する場合は、年齢条件を高く設定できないか確認しましょう。
自動車保険の年齢条件はやや複雑なため、迷った場合は保険会社に確認してみることをおすすめします。
26歳の誕生日は、自動車保険の保険料を大幅に削減するチャンスです。
年齢条件を設定できる場合は忘れずに手続きを行い、保険金の払い戻しを受けるようにしましょう。