離婚ということになると、さまざまな手続きが必要になりますね。
なかでも財産分与に関することは、はっきりとしておく必要がある上に手続きが大変なように感じられます。
自動車保険も財産分与の一つともいえるものです。
後々困らないように契約者変更手続きをはじめとした手続きを行っておきたいものです。
ここでは、「離婚後の自動車保険の契約者変更手続きの方法」、「離婚による自動車保険手続きで注意しておきたいこと」についてご紹介しています。
離婚にともなう手続きは大変ですが、ひとつひとつ片づけていきましょう。
もくじ
離婚後の自動車保険、契約者変更手続きはどうする?
離婚にともなう自動車保険の契約者変更手続きは、離婚成立前に行ってしまうのがおすすめです。
なぜなら、自動車保険の名義変更手続きでは元配偶者に書類の作成などでお願いしなければならないこともあるからです。
離婚が成立し、別居してから名義変更手続きを行うと、より手続きが面倒になる可能性があります。
契約者変更手続きは、手間に感じられるものですが離婚成立前に行ってしまいましょう。
契約者変更手続きの方法は、保険会社に離婚で名義変更がしたいことを連絡します。
すると、名義変更に必要な書類の案内や書類を送付してくれます。
これを返送すれば名義変更は完了です。
まずは保険会社に連絡をしてみましょう。
保険会社に名義変更の連絡をする前に確認したいことは
保険会社に連絡をする前には、自動車保険契約の「どの名義を変更すべきなのか」をあらかじめ確認しておくことが大切です。
なぜなら、自動車保険の名義には、「契約者」、「記名被保険者」、「車両所有者」の3つの名義があるからです。
どの名義を変更するのかをしっかりと認識した上で連絡をしないと、保険会社と上手く意思疎通できないことにもなりかねません。
それぞれの名義の意味するところは以下のとおりです。
「契約者」・・・自動車保険契約を管理する人。保険の解約や保険金の請求は原則的にはこの契約者の同意が必要になります。
「記名被保険者」・・・保険契約の対象となる車を主に運転する人。自動車保険の補償の中心となる人物で、ノンフリート等級はこの人に帰属します。
「車両所有者」・・・車を所有している人。車検証に記載されている所有者です。
離婚にあたって自動車保険の名義を変更する場合には、まず、自動車保険契約で「契約者」、「記名被保険者」、「車両所有者」の3つが誰の名義になっているのかを確認してみましょう。
3つの名義が誰になっているのかを確認した上で、変更したい名義を明確に保険会社に伝えると変更手続きがスムーズです。
離婚にともなう名義変更でとくに注意したいことは
自動車保険の契約者変更手続きは、変更する名義によってはそのタイミングが重要になります。
とくに「記名被保険者」と「車両所有者」を変更したい場合には注意が必要です。
なぜなら、この2つは離婚が成立してしまった後では変更できなくなったり、保険会社によって契約を認められないことがあるからです。
「記名被保険者」を離婚成立前に変更しておきたいワケは?
記名被保険者が配偶者の保険契約を引き継ぐ予定である場合には、離婚成立前に記名被保険者を変更しておきましょう。
なぜなら、記名被保険者の変更は、「配偶者または同居の親族間」でしかできないからです。
離婚が成立すると配偶者でも同居の親族でもなくなります。
離婚が成立して記名被保険者を変更できなくなると、自動車保険に新規加入することになります。
記名被保険者を変更するメリットは、ノンフリート等級の引継ぎができることです。
記名被保険者の変更ができないと、このノンフリート等級の引継ぎもできないということになります。
ノンフリート等級が高い契約であった場合には、とてももったいないことになります。
例えば、引き継ぐ予定ノンフリート等級が20等級であった場合には年間保険料は63~44%程度割引かれますが、新規契約の場合には9%~12%程度しか割引かれません。
かなり年間保険料が変わりますから、離婚成立前に必ず記名被保険者の変更をしておきましょう。
「車両所有者」を離婚成立前に変更しておきたいワケは?
加入している自動車保険がダイレクト型(通販型)の保険会社と契約している場合には、離婚成立前に「契約者」と「車両所有者」の名義が同じになるように変更しておきましょう。
ダイレクト型(通販型)の保険会社では、「契約者」と「車両所有者」の名義が同じ、あるいは配偶者または同居の親族でないと契約できません。
離婚成立前してしまうと配偶者でも同居の親族でもなくなってしまいますから、離婚成立前に変更しておきましょう。
また、代理店を構えている代理店型の保険会社では、「契約者」と「車両所有者」の名義が異なっていても手続きの際に申告すれば契約できます。
しかし、車両所有者の変更の手続きを行うとなると書類の受け渡しなどで元配偶者と連絡を取り合う必要が生じますから、この場合にも離婚成立前に変更しておくほうが安心です。
元配偶者が協力的でない場合には、なかなか手続きが進まないといったことにもなりかねません。
また、代理店型でも「記名被保険者」の変更は配偶者か同居の親族間でしか変更できませんから、車両所有者の変更だけではなく記名被保険者の変更が必要な場合には離婚成立前に行わなければなりません。
契約者のみの変更は比較的簡単、早めに変更しておこう
自動車保険では「記名被保険者」が誰かということが重視されます。
「契約者」は、保険料を支払う、補償の請求を行う、保険契約の解約や更新を行うといった管理者にすぎませんから、極端に言うと誰でも問題がないとみなされています。
このことから、契約者のみの変更は保険会社に連絡すれば比較的簡単に行えます。
ただ、契約者に変更は簡単にできるからといって先延ばしするのではなく、変更が必要な場合にはなるべく早く手続きしてしまうのがおすすめです。
なぜなら、契約者は保険の解約や契約の変更ができる権限があるからです。
契約者を配偶者のままにしていると、かってに保険を解約されたり、契約を変更されてしまうリスクがあります。
契約者のみの変更でも、なるべく早く変更手続きをしてしまいましょう。
離婚後に自動車保険でもめないためには、権利関係をきちんとしておくことが大切
離婚後に自動車保険のことでもめないためには、「今ある自動車保険契約を誰が引き継ぐのか」、「車は誰が所有するのか」という2点をきちんと話し合っておくことが大切です。
また、とくに注意したいのが「ノンフリート等級を誰が引き継ぐのか」ということです。
ノンフリート等級は自動車保険契約の記名被保険者に紐づけられた事故歴、運転歴に応じた保険料の割引システムです。
ノンフリート等級には1~20等級まであり、最高の20等級になると年間保険料は63~44%程度も割引かれます。
高い等級になるほどに自動車保険料の割引率も高くなりますから、ノンフリート等級が高い場合には失わないように対策していきたいところです。
離婚の財産分与でノンフリート等級を思いがけず失いやすいのは、自分が記名被保険者の車を配偶者に譲り渡す場合です。
この時、すぐに新しい車を購入する予定でない場合には自動車保険の「中断証明書」を取って今加入している自動車保険契約を一旦解約しておかなければ、「車だけを配偶者に譲り渡したつもりがノンフリート等級まで配偶者に譲り渡してしまう」ことになります。
これは、ノンフリート等級が、配偶者や同居の親族間では車を譲り渡すことでも引き継がれるためです。
離婚が成立した後なら、車を譲り渡すだけでノンフリート等級が車とともに他人に譲り渡されることはありません。
しかし、離婚成立前に配偶者に車を譲り渡すと、家族ですからノンフリート等級まで譲り渡してしまうことになります。
車と一緒にノンフリート等級も譲り渡すのであれば自動車保険の「中断証明書」は不要ですが、ノンフリート等級を譲らないのであれば自動車保険の「中断証明書」を活用してみてください。
また、もし、離婚前に配偶者に車を譲り渡すのと同時に自分も新しい車を購入する場合には、セカンドカー割引を活用して新しく購入する車に従来のノンフリート等級を適用、配偶者に譲り渡す車にセカンドカー割引を適用させて配偶者の自動車保険も少し有利な条件で契約するという手もあります。
このように車の譲り渡しを離婚成立前に行うと、車だけではなくノンフリート等級までも引継がれてしまう可能性があります。
ノンフリート等級を譲るつもりがないであれば、注意しておきましょう。
自動車保険の「中断証明書」とは
上記でご紹介した「中断証明書」は、自動車保険を解約した後でも中断日から10年以内に自動車保険に再加入する場合に前契約のノンフリート等級をそのまま引継げるシステムです。
「中断証明書」を取得せずに自動車保険を解約した場合には、自動車保険に再加入すると新規契約の6等級からスタートすることになります。
今加入している自動車保険を解約してすぐに加入する予定がない場合には、とりあえず「中断証明書」を取得しておくのがおすすめです。
「中断証明書」は、中断日の翌日から13ヵ月以内に申し出れば発行してもらえます。
とくに離婚で配偶者に車を譲り、すぐに新しい車を購入する予定がない場合には、「中断証明書」を取得しておきましょう。
「中断証明書」の取得方法は
中断証明書は、解約時に一定の条件を満たしている場合に保険会社に書類を提出することで取得できます。
中断証明書を発行してもらうための条件は、以下の2つです。
1、中断する契約の次の等級が7等級以上であること
2.次のいづれかの事由が発生していること
- 車を廃車、譲渡、またはリース会社へ返還
- 車が車検切れ
- 車両入替により、他の保険契約の対象になる
- 車が盗難
- 車が災害で滅失
また、中断証明書を発行してもらうためには、車を廃車、譲渡、またはリース会社へ返還したことを証明する書類が必要になります。
これらを用意した上で保険会社に「中断証明書」を取得したい旨を連絡してみてください。
さいごに
離婚にともなう自動車保険の名義変更は、どんな名義でもなるべく早く変更してしまっておくのがおすすめです。
離婚が成立してから変更するとなると、元配偶者とも連絡が取りにくくなったり、なかなか変更手続きをする時間が取れなくなるなど、手続きが先延ばしになりがちです。
手続きというものはなんでも面倒なものですが、いつまでも先延ばしにしておけるものではありません。
離婚にまつわる手続きを行う際に自動車保険に関する手続きも一緒に片づけてしまいましょう。